『オイディプス王』


ツイート登場人物
オイディプス テーバイの王
神官
クレオン イオカステの弟
老人たち テーバイの長老
テイレシアス 盲目の予言者
イオカステ オイディプスの妻
使者、羊飼い、伝令、子供たち(無言)、オイディプスの娘たち(無言)
場所 テーバイ国の宮殿の前

時 トロイ戦争の約六〇年前

プロロゴス

幼い子供たちが、嘆願の小枝を手に持って宮殿の前にひざまずいている。

付き添いの老いた神官がその中にいる

オイディプス これはどうした、子供たちよ。お前たちは、由緒あるこのテーバイの国に守り育てられている幼子たちではないか。そのうえ、手には嘆願の小枝を握りしめ、こんな所にひざまずいているとは。いったいこれは何事なのか? 見れば香の煙がわが国を覆い、わたしの耳に届くのは祈りの歌と嘆きの声ばかり。もう人の知らせを待っている時ではないと、子供たちよ、天下に名高きオイディプスが、自らここまで出てきたのだ。

では、その老人から聞こう。この子らに代わって言ってくれ。何を恐れて、何を願って、お前たちはここに集まってきたのだ。どんな願いだろうときっとかなえてやるぞ。こんな子供たちのうずくまった姿を見せられて心が動かないとしたら、このわたしは血も涙もない男だと言われることだろう。

神官 この地の支配者オイディプス殿、あなたの祭壇にひざまずくこの者たちの姿をとくとご覧下さい。このわたしは老いさらばえた身ではございますが、ほれ、こちらにおります者たちは、まだ年端もいかぬ子供たちでございます。わたしはゼウスの神官として付き添って参りましたが、この子たちは穢れを知らぬ若者の中から選ばれた者でございます。ほかの子供たちは嘆願の小枝を持って広場にひざまずいて、女神アテナの二つの社と神アポロンの神殿に向かって今も祈っております。それもそれ、わが国はご覧のとおり嵐にもまれ、もはや死の淵から頭をもたげることもかなわぬあり様。田畑は荒れ果て、家畜は病み、女は満足に子が生めません。そこへこの恐ろしい疫病の追い打ちでございます。カドモスに始まるこの街からは人の声が消えはて、冥土の暗闇から無数の泣き声が聞こえてくるほどでございます。

この子供たちがわたしとともに、あなたの祭壇にこうしてひざまずいておりますのは、あなたを神であると考えたからではございません。しかし、神々とのお付き合いにおいても人生経験においても、人々の中であなたの右に出る者はないと、わたしたちは思っているのでございます。あなたはかつてテーバイに来られたとき、恐ろしいスフィンクスへの人身御供のくびきからわが国を解放して下さったお方です。しかもその時、あなたは特別な知識の助けもなしに、わたしたちから何の教えも受けず、わが国を元通りにして下さいました。そのため、あなたの後ろには神様が味方についていると、みなはそう信じて噂しているのでございます。

さあ、そこで、万人に優れて力あるオイディプス殿、わたしたち嘆願者こぞってのお願いでございます。神の言葉を仰ぐなり、人の知恵を借りるなりして、何か対策を講じて下さいませ。あなたのような経験豊かな方ならば、こうして得た様々な助言を、もっともよく生かせることと存じます。

さあ、この世に並びなき方よ、この国を生き返らせて下さいませ。あなたはかつて


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