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18] 乙 したがって、この件はもう片が付いていることになる。つまり、この問題は結論が出ていると思うね。

甲 大体はそうですね。

乙 しかしながら、そのやり方は数学者のやり方であって、哲学者のやり方ではない。というのは、例えば幾何学者が何かを証明しようとする時には、それと関わることが以前に証明されている場合にはそれは証明済みとする。そして、それを前提として、それまでに証明されていないことだけを扱う。一方、哲学者は自分が今扱っている問題が何であれ、それに関係することならたとえ別の場所で話したことでも全てに言及するからだ。

そうでないなら、ストア派の人たちは、幸福に生きるために徳だけで充分かどうか尋ねられた時に、長々と語ることはないはずだ。「徳以外に良い事は何もないことは以前に証明済みだ。これを前提とすれば、幸福に生きるためには徳だけで充分である。そして、後者から前者が導かれるなら、前者も後者から導かれる。すなわち、もし幸福に生きるためには徳だけで充分なら、徳以外には良い事は何もない」と答えれば充分なのだ。

[19] しかし、ストア派の人たちはそんなやり方はしない。例えば、彼らは徳と最高善を別々の本で扱っていて、そこから必然的に「幸福に生きるためには徳だけで充分である」となるにも関わらず、彼らはこの問題も別に論じている。

というのは、どんな問題でも、それぞれ特別な説得力をもって特別に証明すべきだからだ。これほど重要な問題は特にそうする必要があるんだね。

なぜなら、哲学がこれほど何かをはっきりと言明したことはないし、哲学が約束したことで、これほど素晴らしくて有益なことはないからだ。では、哲学は何を約束しているのか。何と、哲学の掟に従う人に運命から身を守る武器を与え、立派で幸福に生きるための砦を与えると約束しているのだ。つまり、哲学の掟に従う人に永遠に幸福な人生を約束しているんだよ。

[20] しかし、哲学がこの約束をどこまで実行できるかは後で見ることにして、差し当たり私はこの約束は高く評価したい。

というのは、クセルクセスは、あらゆる運命の恩恵を受けていたにもかかわらず、騎兵隊にも歩兵隊にも大艦隊にも、無尽蔵の金塊にも満足せず、自分を満足させてくれる新たなものを見つけて来た人に褒美を出したが、欲望には際限がないので、満足することがなかったからだ。

私は「幸福のためには徳だけで充分である」ことにもっと自信が持てるようにしてくれる人がいたら、懸賞を出して呼び寄せたいと思うほどだよ。

八 [21] 甲 私もそう思います。しかし、ちょっとお尋ねしたいことがあるのです。いまお話しになったことの中で、一方から他方が相互に導かれるという話には私も同意します。つまり、もし徳だけが良い事なら、幸福に生きるには徳だけで充分である。それと同じように、もし幸福な人生は徳次第なら、徳以外に良い事は何もないことです。ところが、アンティオコス(=アカデメイア派)とアリストス(=アンティオコスの弟、アカデメイア派)に従っているあなたの友人のブルータスは、こうは考えていません。というのは、ブルータスは、徳以外に良い事があるとしても、幸福に生きるには徳だけで充分であると考えているからです(=善には心の善、肉体の善、運命あるいは外部の善の三種類あるとするアリストテレスらペリパトス派とアカデメイア派の考え方)。

乙 すると、君は私にブルータスに反論しろと言うのかね。

甲 それはお好き


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