のお手柄で、この国の救世主となられたお方。わたしたちとて、一度は救われたものの結局元の木阿弥だったと、あなたの治世を思い出したくはございません。その事を肝に銘じてわが国を再生して、揺るぎない繁栄をわたしたちにお与え下さい。かつてわが国に幸福をもたらしたあの時のご自身の強運を、再びお示しになって下さい。

あなたが今後もこの国を支配するおつもりなら、無人の国を支配するより、人の住む国を支配する方をお選び下さい。もしこのまま住人が消え去れば、わが国は乗り手無き船同様に、無意味なものとなりましょう。

オイディプス ふびんな子供たちよ、よく来てくれた。分かっている。お前たちの願いは分かっているぞ。どうしてみんなの苦しみをわたしが気付かないはずがあるだろうか。いや、そればかりかお前たちの苦しみとは比べ物にならない大きな苦しみで、わたしの心は病んでいる。お前たち一人一人の苦しみは、それぞれの身の上にとどまるだろう。だが、わたしの苦しみはそれにも増して、お前たちの身の上、いや、わが国全体に及んでいるのだ。

お前たちに呼び起こされるまで、惰眠をむさぼっていたわたしではない。いいか、わたしは、これまでに涙したこと一度ならず、思い迷うこと一方ならず、熟慮の末にたどり着いた最上の方策を、すでに実行に移している。この国を救うために、このわたしがいったい何を成すべきか、そのことを神アポロンにお伺いするために、デルフィのお社へ義理の弟のクレオン殿を使者としてすでに送り出しているのだ。

あれからもう何日かと指折り数えて待つ身には、どうしておられるのか気にかかる。もう帰っておられてもよい頃なのに、予想外の長旅だ。だが、とにかく戻られ次第、このわたしの名誉にかけて、神のお言葉を忠実に実行するつもりだ。

神官 おや、今のお言葉があの方のお耳に届いたのでしょうか、クレオン殿が帰っていらしたようでございます。いまこの子たちが教えてくれました。

オイディプス もしそうなら、神アポロンよ、是非ともあの方が、この国に幸運をもたらしてくれますように。おお、晴れやかなお顔が見える。

神官 これはきっとよいお知らせですぞ。さもなければ、あのように実り豊かな月桂樹の冠を、頭に着けておられるはずがございません。

オイディプス それは今に分かる。もうわたしの声が聞こえるだろう。わたしの弟、クレオン殿、どんなお言葉を神様から授かって来られた?

クレオン登場

クレオン よいお言葉だ。うまく運べば、この災いを転じて福とすることができるぞ。

オイディプス それでは安心してよいのか、心配してよいのか分からない。どんなお言葉なのだ。

クレオン みなのいる所で聞きたければ、いま言おう。それとも中へ入ろうか。

オイディプス みなに聞こえるように言ってくれ。わたしは自分の身の上を嘆いているのではない。みなの不幸を悲しんでいるのだ。

クレオン それでは、神様からお伺いした言葉を言うぞ。神アポロンははっきりとこう命ぜられた。この土地には穢れたものが住んでいる、取り返しがつかなくなる前に、この穢れを清めよと。

オイディプス 清めるとはどういうことだ? どうしたらこの国を不幸から救えるのだ?

クレオン この国の災いの原因は人殺しである、その犯人を追放するか死刑にして事件を解決しろと、そうおっしゃるのだ。

オイディプス それで、神は誰が殺されたとおっしゃるのだ。

クレオン あなた


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